個人事業主に経理代行は必要?税理士・会計ソフトとの違いを徹底整理|法人化後の経理体制も解説
- 恵 菅原
- 6 時間前
- 読了時間: 14分
1. はじめに|「個人でも経理代行って頼めるの?」という悩みにまず回答します

日々の請求書作成や領収書整理、帳簿付け…。
気づけば事務作業に多くの時間を取られてしまい、「そろそろ誰かに経理を任せたい」と感じる瞬間があるかもしれません。
とはいえ、個人事業主の場合、税理士・会計ソフト・経理代行など選択肢が多く、どれが自分に合っているのか判断しづらいのが実情です。
本記事では、個人事業主が経理を外部に任せる際の“現実的な選択肢”と“向き不向き” を整理し、費用対効果の観点から、最も無理なく続けられる方法を解説します。
私たち経理代行ステーション(株式会社harbors)は“法人専門” の経理代行サービスとして、企業の月次体制づくりを中心にサポートしています。
客観的な立場から、「個人ではどの方法を選ぶのが効率的なのか」「どのタイミングで法人化を考えると経理が整いやすいのか」といった視点も交えてご案内していきます。
2. 経理代行は“個人でも使える”が、向き不向きがある
経理代行は、企業だけでなく個人事業主でも利用できるサービスです。
ただし「頼める業務」と「頼めない業務」があり、ここを正しく理解しておかないと、思ったような効果が得られないことがあります。
まず押さえておきたいのは、経理代行は“日常の事務作業を担うサービス”であり、税務申告は扱えない という点です。
● 経理代行が対応できること
領収書・通帳の記帳
請求書の作成・発送
入金・支払管理のサポート
会計ソフト入力の代行
月次資料の作成
事務作業がまとまって発生する時期や、
本業が忙しいタイミングでの「実務支援」としては大いに役立ちます。
● 経理代行が対応できないこと(=税務領域)
確定申告書の作成
税務署への提出
税務相談
節税アドバイス
これらは 税理士のみが取り扱える“独占業務” のため、
経理代行だけで経理まわりのすべてが完結するわけではありません。
● 個人事業主にとっては“税務との距離が近い”問題がある
個人事業主の場合、日々の記帳作業と確定申告が地続きになっており、どうしても税務との境界が曖昧になりがちです。
そのため、
「記帳だけ経理代行に、申告は税理士へ」
「会計ソフトで記帳して、申告だけ税理士に」
といった“分業型”が一般的で、
経理代行に丸ごと任せる形は、個人ではあまり効率がよくない のが実情です。
3. 個人事業主が経理を外注する場合の“3つの選択肢”

個人事業主が経理を外部に任せる方法は、大きく分けて次の3つです。
会計ソフトを使って自分で行う
税理士に依頼する
経理代行に依頼する
それぞれメリット・デメリット、向いている人が異なります。
まずは全体像から整理していきましょう。
① 会計ソフト(自分で管理)
会計ソフトは、個人事業主が最も利用しやすい手段のひとつです。
仕訳の自動化やレシート読み取り機能など、年々使いやすく進化しています。
● メリット
コストが最も低い
銀行やクレジットカードとの連携で記帳負担が大幅に減る
決算書・確定申告書類を作成できる
自分の数字をリアルタイムに把握できる
● デメリット
最初の設定やルール決めが必要
取引が増えると管理が追いつかなくなることも
税務判断(節税、控除の扱い)は自力では限界がある
● こんな人に向いている
売上が小規模~中規模
経理は最低限で良く、コストは抑えたい
税務判断は税理士にスポットで依頼すればOKというスタンス
② 税理士に依頼する
個人事業主の多くは、最終的に“税理士へ依頼”という形に落ち着きます。
税務申告までワンストップで任せられるため、最も現実的で安心感のある選択肢です。
● メリット
記帳から確定申告まで一貫して任せられる
税務相談、節税アドバイスが受けられる
税務署との対応も任せられる
誤りや漏れのリスクが減る
● デメリット
会計ソフトよりは費用がかかる
記帳をどこまで任せられるかは事務所によって異なる
日常経理(請求書発行など)は自分で対応が必要
● こんな人に向いている
毎年の申告がストレス
売上や取引量が増えてきた
税務判断を自分でやりたくない
将来法人化も視野に入れている
③ 経理代行に依頼する(ただし業務範囲に注意)
経理代行は、日常の事務作業を丸ごと任せたい人に有効です。
領収書整理や請求書発行などの“実務”を外部に出すことができます。
● メリット
日常の経理作業を大幅に削減できる
事務作業の抜け漏れが減る
業務量が多い月の負担を調整できる
● デメリット
税務申告は対応不可(別途税理士が必要)
個人の場合、記帳と申告が密接なため分業が非効率になりやすい
税理士+経理代行のダブル外注は費用がかさむことも
● こんな人に向いている
取引量が多く、会計ソフトでも追いつかない
請求・支払管理など事務作業から解放されたい
すでに税理士がいて、日常経理だけ手伝ってほしい
● 結論:個人は“税務との距離”で選ぶのが正解
個人事業主の場合、
記帳 → 決算 → 確定申告が一本の線でつながっているため、
「記帳は経理代行、申告は税理士」 という分業が相性の悪いケースも多くあります。
そのため、
取引が少ない → 会計ソフト
取引が増えてきた/判断が多い → 税理士
事務作業を完全に外出ししたい → 経理代行+税理士
といった整理が現実的です。
4. 個人事業主なら“どの選択肢が向く人?”早見表
経理の外注は、規模や働き方によって“最適な選択”が大きく変わります。
ここでは、判断に迷ったときに役立つよう、「売上規模」「事務量」「税務判断の必要度」 の3つを軸に整理しました。
◆ 売上規模 × 事務量でみる最適な選択肢
● 売上〜500万円/事務量が少ない
銀行・カードの利用も最小限
領収書がそこまで多くない
売上の種類がシンプル
👉 会計ソフトが最適
コストを抑えながら、最低限の手間で管理できます。
● 売上500万〜1,000万円/事務量が増え始めてきた
取引量が少しずつ増加
仕訳の判断に迷う場面が出てくる
本業が忙しく、経理に割ける時間が減ってくる
👉 税理士へ依頼すると安心感が高い
仕訳の迷いが減り、申告も任せられるため、トータルの効率が良い段階。
● 売上1,000万円〜/事務量が多くなる
見積・請求・支払管理の業務が増える
振込や入金チェックに時間が奪われる
税務判断の質が売上に影響する段階
👉 税理士+必要に応じて経理代行の併用
特に請求・支払い管理を外注すると、本業に使える時間が一気に増える。
◆ 税務判断の必要度でみる選択
● 税務判断がほぼ不要(白色〜簡易な青色)
経費の種類がシンプル
家事按分も最低限
固定資産や減価償却がほとんどない
👉 会計ソフトで十分
● 税務判断がある程度必要(青色申告・節税を意識)
控除・特例の使い方に迷う
打ち合わせ型の相談が必要
できれば税務署対応も任せたい
👉 税理士依頼が最適
● 税務判断は税理士、事務作業は外注したい
取引量が増えて記帳が追いつかない
請求書発行や支払いの管理が大変
業務フローが煩雑になってきた
👉 経理代行+税理士の併用
ただし、個人事業主の場合、
「記帳が税務と密接に結びつきやすい」ため、経理代行と税理士の二重構造はコストと管理の両面で負担になることもあります。
◆ 全体の結論:個人は“税務をどう扱いたいか”で決めると失敗しない
税務判断がほぼない → 会計ソフト
税務判断が出てくる → 税理士依頼
事務作業が多すぎる → 税理士+経理代行(併用)
という整理がもっともシンプルで、実際の運用にも合致します。
5. 個人事業主が経理代行を使うメリット・デメリット

経理代行は、事務作業を大幅に減らしたい人にとって有力な選択肢です。
ただし、個人事業主の場合は“税務との関係が非常に近い”ため、メリットとデメリットの両方を理解したうえで選ぶことが大切です。
◆ メリット|事務作業の負担が大きい人には大きな効果
① 記帳や資料整理の手間が大幅に減る
領収書の分類、通帳データの取り込み、会計ソフト入力…。
こうした“作業としての経理”を外注できるため、本業に集中しやすくなります。
② 請求書発行・支払い管理なども任せられる
請求日や振込期日の管理は、意外と時間を奪う業務です。
経理代行なら、こうした事務処理の抜け漏れリスクも減らせます。
③ 数字の整備が進み、月次の見える化につながる
日々の取引が整理されると、キャッシュの流れや利益が把握しやすくなり、意思決定の精度が上がります。
◆ デメリット|“税務と分離している”ことが個人事業主では弱点になることも
① 確定申告は必ず税理士が必要
経理代行だけでは、申告書作成や税務判断は行えません。
そのため、結局「税理士」を別で探す必要がある のが弱点。
② 記帳と税務が地続きのため、情報が分断されやすい
個人事業主の経理は、
どこを経費に入れるか
按分の考え方
特例や控除の扱い
といった税務判断と密接につながっています。
経理代行と税理士が別々だと、この“判断情報”の共有に手間がかかることがあります。
③ 経理代行+税理士契約で、費用が二重になりやすい
事務作業の外注費と、申告の税理士費用がそれぞれ発生するため、会計ソフトや税理士単体より割高になるケースが多い のが実情です。
④ 個人向けの経理代行は業務整理の負担が大きい
領収書のまとめ方や資料の出し方など、継続利用のためにはルールづくりが不可欠です。
法人と違い、フローが定まっていないことが多いため、最初の作業が重くなりがち。
◆ 結論:個人事業主の場合、費用対効果で考えると“税理士 or 会計ソフト”が合理的
特に、
申告まで任せたい
税務判断に不安がある
経理で迷う時間を減らしたい
という人は、“税務を含めて丸ごと任せられる”税理士が最も効率的 です。
経理代行は、すでに税理士がいて、日常の事務作業だけ外注したいケースに限り、効果を発揮します。
6. 売上が伸びてきたら“法人化+経理体制の整備”が現実的に
個人事業主として順調に売上が伸びてくると、「経理が追いつかない」「事務作業が負担になってきた」と感じる瞬間が増えてきます。
この段階では、経理のやり方そのものを見直すタイミングに入っている と考えて良いでしょう。
◆ 売上が増えると、自然と“経理の負荷”も増える
個人事業主の成長には、次のような変化が伴います。
見積・請求・入金確認の件数が増える
仕入や外注費が増え、管理が複雑になる
経費の範囲や税務処理に迷う場面が増える
銀行・クレカ明細が複数に分かれ、管理が煩雑になる
こうした変化が重なると、
会計ソフトで“なんとか管理する”という段階を超えてしまう ことが多くなります。
◆ 売上1,000万円を超えると、法人化の選択肢が急に現実的に
もちろん「売上◯円=法人化すべき」という明確な基準はありません。ですが、実務面を見ると、
取引量が増え
経理作業が増え
税務判断の重要度が上がる
という三つの理由から、
売上1,000万前後が“法人化を検討し始める人が最も多いゾーン” です。
法人化すると、経理や税務の処理がより体系化され、内部の管理体制もしっかり整えていく必要が出てきます。
ここで初めて、
「経理代行を入れて、会社としての仕組みを整える」という選択肢が大きな効果を持ちます。
◆ 法人化すると、経理は“仕組み”として整えるフェーズに入る
法人になると、個人とは比較にならないほど書類やルールが増えます。
請求・支払の締め日
給与計算や社会保険
月次締めのスケジュール
会計ソフトの科目ルール
税理士との役割分担
こうした仕組みが整っていないと、
月次が締まらず、経営判断にも影響が出てきます。
◆ このフェーズでは“法人専門の経理代行”が最も機能する
個人事業主の経理代行が難しい最大の理由は、税務と実務の線引きが曖昧であり、仕組み化が成立しにくいこと にあります。
一方で法人になると、
業務フローがつくりやすい
経理作業と税務業務の境界が明確
月次体制を整える意義が大きい
という背景があり、経理代行の“強み”が最も活きるステージに入ります。
◆ 個人→法人に切り替わる瞬間は“経理を整える最高のタイミング”
売上が伸びてきた
税理士と経理の役割分担を見直したい
経理のルールをゼロから整えたい
もっと数字を活用したい
こうしたタイミングで経理の仕組みを整えると、
その後の年商アップや組織化のスピードが大きく変わります。
7. 法人化後に経理が破綻しやすい“よくある3パターン”

法人化は事業が成長した証でもありますが、
同時に「経理の負担が一気に増えるタイミング」でもあります。
実際、法人化したばかりの企業からは、
月次が締まらない
資料が揃わない
税理士との役割分担が曖昧
などの相談をよくいただきます。
ここでは、特に多い“破綻パターン”を3つに絞ってお伝えします。
① 代表が“全部自分でやろうとして”回らなくなる
法人化直後は、売上管理・入金チェック・支払予定の管理など、
個人の頃よりも作業量が何倍にも膨らみます。
最初はなんとかなるものの、事業が伸びてくるとすぐ限界がきます。
「請求書を出し忘れた」
「支払い漏れをしていた」
「月次の数字が出ていない」
こうした小さなズレが積み重なると、気づけば経営判断に必要な数字が見られない状態に。
“社長が手を離せる形に整える”ことが法人化直後の最重要ポイントです。
② 経理ルールがなく、担当者によって運用がバラバラになる
法人では、
領収書の出し方
立替精算のルール
請求・支払の締め日
会計ソフトの入力ルール
こうした“社内のミニルール”を整えていないと、途端に業務が混乱します。
最初は1〜2人の会社でも問題は感じにくいのですが、取引先が増え、人が増え、業務が増えるにつれて、
「どれが最新の資料なのか分からない…」
「入力ルールが人によって違う…」
といった状況が発生しやすくなります。
ルールがないまま税理士へ資料だけ丸投げすると、月次が遅れたり、修正が多発する原因にもなります。
③ 税理士との“分担”が曖昧で、どこで止まっているか不明になる
法人化直後の企業で最も多いのがこのタイプです。
よくあるのが、
「これは会社側がやる?税理士がやる?」が不明
資料の提出期限が決まっていない
月次の締め日がなく、数字が出ない
決算直前に大量の資料確認が発生する
という状態。
曖昧なまま進めると、
「月次が出ない → 経営判断できない → バタつく」という悪循環に入りやすいです。
法人の経理は、“会社側が行う作業”と“税理士が行う作業”の線引きを明確にすることが最重要。
ここが整うだけで、月次のスピードと精度は大きく変わります。
◆ なぜこの3つが起きるのか?答えはシンプル
法人の経理には、“仕組み化”が必要になるから です。
個人のように「できたタイミングで処理する」では回らず、
いつ
誰が
何を
どのようにやるか
を定義しないと、すぐに破綻してしまいます。
この章で触れた問題は、法人にとって避けて通れない“最初の壁”でもあります。
8. 法人向け経理代行なら経理代行ステーションへ
経理は、事業が大きくなるほど“仕組み”が重要になります。
法人化後は、請求・支払・給与・月次管理などの業務が一気に増え、そのまま代表や社員が兼務し続けるのは現実的ではありません。
そんなタイミングで役立つのが、
法人専門の経理代行サービス です。
私たち 経理代行ステーション(株式会社harbors) は、企業の経理体制を一から整え、月次業務を安定させることに特化しています。
◆ 法人特化にこだわる理由
個人向けサービスを行わないのは、法人の経理に必要な“業務設計”と“正確な月次体制”に全力を注いでいるためです。
法人の経理には、
請求締め・支払締めの設定
振込や入金チェックの運用
会計ソフトのルール設計
税理士との役割分担の整理
社内フローの標準化
といった数多くの仕組みが求められます。
これらを丁寧に整えることで、月次のスピードと精度が大幅に改善し、経営判断の質が高まっていきます。
◆ 担当者は“現場経験者”。実務の分かるスタッフが対応します
harborsの大きな特徴のひとつが、
実務経験者による対応 です。
会計事務所出身
経理歴10年以上
管理部門の実務経験が豊富
といったスタッフが担当し、
企業の業務フローに合わせて最適な体制を構築します。
「どの資料を、いつ、どのように提出すればいいのか」といった実務の細かい部分も含めて、一緒に整理していきます。
◆ 税理士との連携で、月次〜決算がスムーズに進む
経理代行ステーションでは、
税理士と企業側の役割分担を明確にし、
月次業務を滞りなく進めるための土台づくりを行います。
月次資料が揃う
数字がタイムリーに出る
決算直前に慌てない
税理士とのやりとりがスムーズ
こうした状態をつくることで、企業が成長に集中できる環境が整っていきます。
◆ まずは経理のお困りごとをお聞かせください
月次が締まらない
経理担当が辞めてしまった
経理を任せられる人が社内にいない
ルールがなく属人化している
税理士との分担が曖昧
どんな小さなお悩みでも構いません。経理の状況を整理し、最適な方法をご提案します。
「経理を整えること」から、会社の成長は加速します。その第一歩を、私たちがお手伝いします。



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