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【一人経理が突然退職したらどうなる!?】中小企業が今すぐ取るべき緊急対策と再発防止策

  • 執筆者の写真: 恵 菅原
    恵 菅原
  • 5 日前
  • 読了時間: 12分

更新日:4 日前

「突然、経理担当が退職することになってしまって…」

そんな話は、実は珍しくありません。


特に中小企業では、経理業務を一人で担っているケースも多く、辞められてしまうと請求書の発行も、給与の支払いも、税金の処理も全部ストップしてしまう可能性があります。


ですが、経理担当の退職は「終わり」ではなく、「見直しのチャンス」でもあります。「人がいなくなったから大変」という“人頼み”の状態から、「誰が辞めても回る仕組みづくり」へと、会社の体制を進化させるきっかけになるのです。


この記事では、経理が一人だった会社で担当者が退職したときに、何が起こりうるのか、そしてどんな対応をすべきかを、わかりやすくお伝えします。




1.一人経理退職が引き起こす“業務停止リスク”とは


経理担当が一人だった場合、その人が辞めた瞬間から会社の「お金の流れ」が止まります。想像以上に多くの業務が、その一人の手に委ねられていたことに気づくのです。


具体的には、こんなリスクがあります!


  • 請求書が発行できない → 売上の回収が滞る = キャッシュフローに直撃 → 資金繰りが悪化し、最悪の場合、仕入れや給料の支払いができなくなる恐れも!


  • 支払処理が止まる → 取引先からの信頼低下、延滞によるペナルティも →「この会社、大丈夫か?」と不信感を持たれ、取引の打ち切りや条件変更のリスク!


  • 給与計算がわからない → 従業員の生活に影響、モチベーション低下

    → 給与の遅延は離職や労務トラブルの引き金にもなり、経営への悪影響が波及!


  • 経費精算が積み上がる → 経費の不正や無駄が見えなくなる → 経営数値が曖昧になり、どんぶり勘定に。無駄な出費やミスに気づけない状態に陥る!


  • 会計ソフトのログイン情報も不明 → 過去データにアクセスできない、税理士に引き継げない → 業務の引き継ぎができず、社外の専門家にも依頼できない“情報の孤島化”が発生!


  • 決算・申告業務が進まない → 税務署や金融機関への提出期限に間に合わない可能性も→ 延滞税・加算税が発生したり、融資審査に支障が出たりと、財務面での信用を大きく損なうリスクも!


このように、たった一人の退職が、「業務停止」→「資金ショート」→「信用失墜」へと連鎖的なダメージを引き起こす可能性があります。




2. 経理が辞めた原因は?誰のせい?


「突然辞めるなんて、引き継ぎもなく無責任だ…」そう感じた経営者の方もいらっしゃるかもしれません。


でも、ちょっと待ってください。

経理の退職には、会社側の“体制”や“環境”が原因だったケースも少なくありません。


経理が退職する企業で、よくある3つの問題


① 業務が属人化しすぎていた


  • 「経理=あの人にしかわからない」状態が長く続くと、本人のプレッシャーはかなり大きくなります。

  • トラブルが起きても相談しにくく、ひとりで抱え込む状況に…。

➡結果:“もう限界です”と突然の退職に



② 評価されにくく、孤独になりがち

  • 経理の仕事は「ミスがないのが当たり前」と思われがち。

  • 頑張っても成果が見えづらく、社内でも感謝されにくいポジションです。

➡結果:「私の仕事、誰も見ていない」と感じ、やりがいを失う


③ 非効率なやり方を強いられていた

  • 紙ベースの伝票、手書きの帳簿、手入力の仕訳…

  • 自動化できる作業をアナログでやっていたら、時間も手間もかかりすぎて疲弊します。

➡結果:「もう限界。こんなやり方、続けられない」


チェックしてみましょう:会社の体制にこんな“落とし穴”はありませんか?

  • 経理業務のマニュアルがない

  • 1人にすべてを任せきっていた

  • 業務量と労働時間が釣り合っていない

  • ツールやシステムをアップデートしていない

  • 経理担当者に感謝や評価を伝える機会がなかった


経理が辞めた理由は、「たまたま」や「個人的な事情」だけではないかもしれません。 会社の側が気づかぬうちに、退職の原因を作ってしまっていた可能性もあります。


ですが大丈夫。このタイミングで気づけたことが、会社にとっての転機になります。




3. 退職直後にやるべき“緊急対応”3ステップ


経理が突然辞めた。でも今日も会社を回さなければいけません。 焦る気持ちは当然ですが、まずは落ち着いて「今やるべきこと」を優先的に整理しましょう。

ここでは、退職直後にやるべき対応を3つのステップでご紹介します。


✅ ステップ1:業務の棚卸しをする


まずは、辞めた経理担当がどんな業務を、いつ、どのように行っていたのかを洗い出します。


  • 毎月・毎週・毎日の業務は?

  • 書類やファイルはどこに保管されている?

  • どのツール(ソフト・システム)を使っていた?


この棚卸しを行うことで、「今、会社が抱えている“見えない不安”」が可視化されます。頭の中で「ヤバいかも…」と曖昧に感じていた不安が、少しずつ“具体的なタスク”として分解できるようになります。



✅ ステップ2:緊急性の高い業務から優先対応する


すべてを完璧にカバーするのは、今すぐには難しいかもしれません。だからこそ、まずは「今止まったら本当にマズい」業務を選別して、優先順位をつけて動きましょう。


例えば:

  • 今週中に請求書を出さないと入金が遅れる

  • 給与の締日が近い、支払日に間に合わなくなる

  • 税金の納付期限が目前に迫っている


これらはすぐに外部に相談したり、他の社員に応援を頼んだりして、なんとか“止めないこと”が大事です。



✅ ステップ3:社内対応と外注対応を切り分ける


次に、「社内で何とか対応できること」と、「専門的で外部の力を借りるべきこと」を分けましょう。


社内で対応できるかもしれない業務

  • 領収書の整理やスキャン

  • 社員経費の取りまとめ

  • 書類のファイリングや提出物の管理


外注すべき業務(例)

  • 給与計算

  • 会計ソフトへの仕訳入力

  • 決算・税務処理

  • 銀行振込の代行や請求業務の設計


「誰かをすぐ雇う」のは理想ですが、人材採用には時間がかかります。まずは経理代行や会計事務所など、外部パートナーの力を借りることも検討しましょう。


この3ステップを実行することで、少しずつでも「動かせること」が見えてきます。会社が立ち止まらないために、できることから始めましょう。




4. 「人を採用する」以外の選択肢


経理が辞めたから、また誰かを雇わなきゃ――。 そう思われるかもしれませんが、今の時代、「人を雇う」以外にも選択肢はあります。


経理という仕事は、実は「完全に社内に抱える」必要はありません。むしろ外部リソースをうまく活用したほうが、柔軟で安定した体制を築けるケースも多くなっています。

ここでは、採用に頼らない3つの選択肢をご紹介します。



①経理代行サービスを使う


請求書の発行や仕訳入力、給与計算や支払処理など、日々の経理業務をまるごと外注することができます。

  • 即日対応可能なサービスもあり、退職直後の緊急対応にも◎

  • 業務マニュアルがなくても、過去データを見ながらプロが再構築してくれる

  • 月次決算や資金繰りの見える化など、経営管理の強化にもつながる

「しばらく代行に任せて、社内体制が整ったら戻す」という使い方もOK。必要な時だけ、柔軟に利用できるのが大きな魅力です。



②会計事務所・社労士との連携を強化

すでに顧問契約している税理士さんや社労士さんがいる場合、通常業務以外の部分もスポットでお願いできる可能性があります。

  • 給与計算や法定調書など、労務関連の支援は社労士へ

  • 試算表の作成や月次処理のレビューは税理士へ

  • 会計ソフトとの連携支援や記帳指導なども可能

普段は相談していない業務でも、「今こういう状況で困っていて…」と素直に話すことで、臨機応変にサポートしてもらえることもあります。


③クラウド会計+運用サポートの活用

クラウド型の会計ソフト(例:freee、マネーフォワード)を使えば、どこからでも複数人でデータ共有・入力が可能です。

  • 社内のメンバーと会計事務所や代行業者が同時にアクセスできる

  • 紙の書類やUSB受け渡しが不要になる

  • 銀行口座やクレジットカードの連携で、仕訳が自動生成される仕組みも

ただし、ツールを導入するだけでは運用は安定しません。クラウド会計の導入支援や、運用代行を請け負う業者と組むことで、スムーズな移行が可能になります。



✅「社員にしない」ことで、むしろ柔軟で強い体制に!

社員を1人雇うには、給与・社会保険・育成・定着…あらゆるコストとリスクが伴います。ですが、経理のような“専門性が高く波のある業務”は、プロにアウトソースする方が持続的な安定を得られることも。

「人」ではなく「仕組み」をつくる。これからの時代に合った経理のあり方を、今こそ考えてみませんか?




5.経理業務、“採用 or 外注”判断の分かれ道はここ!

経理担当が退職したあと、多くの経営者が最初に考えるのが「誰かを雇おうか?」ということ。ですが、今の時代、必ずしも“採用一択”ではありません。

採用にはコストも時間もかかりますし、また一人に頼る体制に戻ってしまえば、同じ問題が再発するリスクもあります。そこで今回は、「うちは人を採るべきか? それとも外注すべきか?」を判断するためのポイントを整理してみましょう。



ポイント1:業務量はどのくらいか?

月次仕訳が数十件、給与計算が5~10名程度――このように経理業務のボリュームが比較的少ない企業は、外注の方が効率的です。

一方で、毎月数百件の仕訳、複雑な原価計算や部門別管理が必要であれば、社内にある程度の知識と対応力を持つ人材が必要になるかもしれません。



ポイント2:今後も属人化しそうか?

「人を採用すれば解決する」と思いがちですが、また一人に任せきりにすれば、同じ状況が繰り返されます。

属人化のリスクを減らすには、業務の分担・マニュアル化・外部との連携が欠かせません。外注を活用すれば、最初から「仕組みで回す」ことが前提になるため、再発リスクの抑制にもつながります。



ポイント3:即戦力が必要か?

退職のタイミングが給与支払いや決算時期と重なっている場合、“即戦力”を求められます。

採用してから教育するには時間が足りない、というときこそ、経理代行サービスや会計事務所のスポット対応が現実的です。外注なら、過去の資料をもとにそのまま引き継ぎや再構築をしてくれるケースもあります。



ポイント4:トータルコストを比較してみる

正社員を雇う場合、月給以外にも以下のコストが発生します:

  • 社会保険・交通費

  • PC・システムなどの設備投資

  • 教育・研修コスト

  • 退職時の引き継ぎリスク


一方、外注であれば必要な分だけ・明確な金額で依頼できるというメリットがあります。「毎月定額+成果物あり」の安心感は、社内の混乱期には大きな支えになります。



✅判断に迷ったら、「混ぜる」のもアリ


実は、採用と外注は“どちらか一方”に決める必要はありません。

  • 日常の仕訳や請求処理は外注に

  • 社内の連携や社長の右腕として、週1~2日だけ経理経験者をパートで雇用

このように部分的な外注+社内の最低限の人員で、柔軟かつリスク分散型の体制を作ることもできます。


「経理が辞めた。次は誰にやってもらおうか?」ではなく、「この機会に、どうすれば会社全体の仕組みとして強くなるか?」を考える視点が大切です。

短期的なピンチを乗り越えることも、長期的な経営の安定につながる第一歩です。




6.同じ失敗を繰り返さないための体制づくり

経理が辞めてしまった――その出来事は、会社にとって大きな痛手かもしれません。でもそれは同時に、「今までのやり方を見直すきっかけ」でもあります。

ここでは、二度と“経理が辞めたら業務が止まる”という状況を繰り返さないためのポイントをご紹介します。



✅マニュアルを整備する

「何を」「いつ」「どのように」やるか――経理業務を言語化・可視化しておくことで、誰が見ても内容がわかるようになります。

  • 月次業務チェックリスト

  • 年間スケジュール(納付期限、決算準備など)

  • 会計ソフトやクラウドサービスのログイン情報一覧

一人の頭の中にある情報を、社内に共有できる形に落とし込むことが大切です。



✅社内で“もう一人”わかる人をつくる

常に二人目を配置するのが理想ですが、現実的に難しい場合は、最低限の流れや注意点だけでも他の社員が把握しておくことが重要です。

  • 緊急時に代わりが立てられるように

  • 異動や退職時の引き継ぎがスムーズに

いざというときの「引き継げない問題」を回避できます。


✅ツールの導入で業務の“属人化”を防ぐ

紙の請求書や手書きの帳簿を使っていませんか?クラウド会計ソフトや経費精算ツールを導入すれば、業務が自動化・共有化され、「特定の人しかわからない」状態を脱却できます。

  • freeeやマネーフォワードなどのクラウド型会計ソフト

  • 経費精算アプリ、オンライン請求システム

  • GoogleドライブやDropboxでの書類共有

ツールと運用ルールを整えれば、経理は「チームで回す業務」になります。



✅外部パートナーを“味方”にしておく

いざというときに頼れる外注先や税理士・社労士がいれば、社内で完結できない業務も安心して任せられます。

  • 月次記帳や年末調整を任せる経理代行

  • 給与や労務関係の社労士事務所

  • 税務申告や節税の相談ができる税理士法人

「急に辞められても、何とかなる」という安心感は、経営者にとって大きな価値です。



✔ 経理は“仕組み”で守る時代へ

これからの経理は、「誰か一人に頼る仕事」ではなく、“仕組みとチーム”で動かすものです。

今回の出来事をきっかけに、「辞められても困らない経理体制」を築いていくことが、会社の持続的な成長にもつながります。




まとめ

経理が突然辞めた――それは、どの会社にも起こりうる現実です。そして、一人経理だった会社ほど、その影響は大きく、業務停止・資金繰りの悪化・信頼低下など、経営リスクへとつながります。


でも逆に考えれば、今回の出来事は「会社の経理を見直すチャンス」。人に頼るのではなく、“仕組みで守る経理”をつくるタイミングとも言えます。


この記事でご紹介したように、まずは以下の対応から始めてみてください。


  • 現在の経理業務の棚卸しと優先順位の整理

  • 採用 or 外注の冷静な判断

  • マニュアル整備と社内共有

  • 外部パートナーやツールとの連携


中小企業の経営はスピードと柔軟さが命です。ピンチをしっかり乗り越え、強くしなやかな経理体制を一緒に作っていきましょう。



経理のお悩み、まずはご相談ください


株式会社harborsが運営する「経理代行ステーション」では、突然の退職や属人化で困っている中小企業の経理業務を、まるごとサポートしています。

  • 請求・支払い・給与計算などの緊急対応

  • 会計ソフトの整理やマニュアル化支援

  • クラウド会計の導入・運用サポート

  • 経理業務の外注と、仕組みづくりの伴走支援


「何から手をつけたらいいかわからない…」という状態でも大丈夫です。まずは一度、お話を聞かせてください。

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