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経理部長が退職!? 中小企業がとるべき緊急対応と再構築の全手順

  • 執筆者の写真: 恵 菅原
    恵 菅原
  • 4 日前
  • 読了時間: 13分

更新日:4 日前


1. はじめに


「経理部長が退職することになりまして…」

そう告げられた瞬間、経営者の脳裏によぎるのは──数字の混乱、請求漏れ、支払い遅延、そして何より「今後どうすればいいのか」。


経理部長の退職は、いわば会社の“司令塔”を失うことに等しい出来事です。ただの作業担当ではなく、意思決定、外部との調整、未来の資金戦略──その中心にいた存在。


つまり、これは「経理全員が辞めた」とか「一人経理がいなくなった」とは根本的に違う問題です。組織の中核が抜け落ちると、会社の意思決定が止まり、誰もGOサインを出せない状況に陥ります。


本記事では、そんな「経理部長が辞めたとき」に経営者が取るべき行動を、リスク、対応手順、代替案を含めて分かりやすく解説します。「準備しておいてよかった」と思える未来へ。今こそ、動くときです。




2. なぜ「経理部長の退職」がこれほど危険なのか?


経理部長の退職が、ただの人事異動では済まされないのは、その役割が“作業者”ではなく、“戦略と信頼の司令塔”だからです。


✅ 経理部はいても、動かなくなる


経理部長が担っていたのは、日々の記帳や仕訳だけではありません。むしろ、その人にしかできなかったのは──


  • この支出は今月切って問題ないか?

  • 節税のための処理はどうするか?

  • 会計方針をどう取るか?


といった、「判断」でした。

いくら人がいても、判断できる人がいなければ経理は“止まった”も同然。 つまり部長が抜けるとは、意思決定のブレーキが壊れることなんです。



✅ 社外からの“信頼の窓口”が消える


税理士・社労士・銀行・監査法人など、経理部長は外部との調整役でもありました。


  • 決算の着地を税理士と相談

  • 金融機関と資金繰りの見通しを共有

  • 助成金申請や契約内容の確認 など

この「顔の見える人」がいなくなることで、外部も不安を覚えます。


「最近、御社ご担当変わられたんですね…」

「…で、今後はどなたがご対応を?」

──この“間”が信用を削っていくのです。



✅ 「未来の数字」を描いていたのは、部長だった


予算、資金繰り、投資、節税、業績予測…経理部長は、単なる現状把握にとどまらず、未来を見据えて数字を設計していました。

いなくなれば、経理部は「現場を処理するだけの部署」に逆戻りするリスクがあります。



✅ 社内の安心感がごっそり抜け落ちる


「困ったら部長に聞こう」「判断は部長がしてくれる」

──経理チームの中で、そんな安心感の中心にいた人がいなくなると、現場は不安に包まれ、連鎖退職やモチベーション低下も起こり得ます。




3. 経理部長が辞めると決まったとき、まずやるべき7つのこと


経理部長が退職すると聞いたら、まずは深呼吸。 そして次の7つのアクションを、1日でも早く着手することが重要です。


① 業務の棚卸しをする


まずは「何を、誰が、いつまでに、どうやってやっているか」を洗い出すことからスタートです。

経理業務は多岐にわたります。記帳、請求書の発行、支払処理、月次決算、税理士とのやりとり…それらが部長の頭の中やエクセルファイルにしか存在しない場合、退職後に“謎の空白”が発生します。



② ログイン情報・権限を全確認


銀行口座、会計ソフト、給与計算システム、電子契約サービスなど、経理部長が管理していたアカウントや権限をすべて確認します。

特にクラウド会計やネットバンキングなど、パスワードを誰も知らない/変更できないといったケースは少なくありません。退職日より前に、必ず整理・移行しておきましょう。



③ 引き継ぎスケジュールを作成


「なんとなく聞いておこう」では危険です。有休消化が始まる前に、引き継ぐべき業務と優先順位を明文化しましょう。

おすすめは、「月次決算」「支払処理」「給与」「決算対応」のように業務を大分類し、それぞれの実施タイミング・担当者・必要資料を1枚の表にまとめること。



④ 緊急業務は外注でも止めない


次の人材が決まっていない状態で、支払いや請求が滞ると、キャッシュフローや信用に直撃します。一時的であっても、税理士や経理代行を活用して緊急業務を止めない体制を作りましょう。

📌 請求書発行・支払処理・給与計算など、harborsでは単体業務からのスポット対応も可能です。



⑤ 社外関係者に事情を共有


税理士、社労士、銀行、監査法人など、外部のパートナーには退職の事実と今後の対応方針を早めに共有します。

連携が必要な業務で、混乱が起きるのを防ぎましょう。また「部長が辞めた=会社が危うい」という印象を持たれないよう、経営側が対応している安心感も伝えるのがポイントです。



⑥ 後任体制の方針を固める


内部昇格で育てるのか、採用するのか、経理代行で補うのか。**「誰がどの業務を担うのか」**をできるだけ早く決めることで、社内の不安を抑えることができます。

なお、“完全な後任を一人で探す”のは至難の業です。複数名体制や業務分担で属人化を防ぐ方向も視野に入れましょう。



⑦ 社内チームの“安心感”をつくる


部長の退職が公になったとき、残されたメンバーの心はざわつきます。

「この先、どうなるんだろう」「業務が全部こっちに来たら無理…」そんな不安が連鎖を生まないよう、経営者からのメッセージや体制説明が鍵です。

退職は避けられないかもしれません。でも、そのあとの“打ち手”次第で、組織の未来は大きく変わります。




4. よくあるトラブルと“地雷ポイント”


経理部長の退職対応では、ただスケジュール通りに引き継ぎをこなすだけでは不十分。見えないリスクが、あとからじわじわ効いてくることが多いのが特徴です。

ここでは、実際に多くの企業で起きている“地雷ポイント”をご紹介します。「うちは大丈夫」と思っていた会社こそ、注意が必要です。


💥 地雷1:「大丈夫でしょ」と放置 → 引き継ぎ未完


ありがちなパターンが、「きっと引き継いでくれるだろう」という“油断”。結果、部長が有休消化に入った時点で連絡が取れず、誰も業務の全体像を把握できないまま月末を迎える──という事態に。


引き継ぎは「任せる」ではなく「段取りと確認」がセットで必要です。



💥 地雷2:属人化されすぎて中身がブラックボックス


会計ソフトの設定、エクセル管理台帳、税理士とのやりとり、社内ルール──あらゆるものが部長の頭の中 or 私物PC内にあるケース、想像以上に多いです。 退職後に「どこにある?」「誰が知ってる?」と探し回る羽目に。


→ とにかく棚卸しとデータ共有を早急に!



💥 地雷3:不正やミスが発覚するのは“退職後”


部長が辞めたあとに、

  • 長期未収の売上が発覚

  • 領収書の添付ミス・抜け漏れ

  • 不自然な費用の計上

といった事例も珍しくありません。本人に悪意があったかは別としても、長年の慣れと油断で“何となく”処理されていたことが表面化します。


→ 引き継ぎと同時に、軽く監査的な視点を持つことも大切です。



💥 地雷4:退職後も「ちょっとだけ助けて」に頼りすぎる


「退職しても少しなら手伝ってもらえるから」と期待していたものの、実際には連絡がつかない/すぐには対応してもらえない/お金の問題で揉める…というケースも。


“退職後サポート”は最初からあてにしない前提で動くべきです。



💥 地雷5:取引先や金融機関に不信感を持たれる


経理部長の退職を伝えるのが遅れたことで、

  • 税理士が「決算資料が揃わない」と困っていた

  • 銀行が「大丈夫ですか?」と融資姿勢を硬化

  • 助成金の申請が通らなかった

といった“外部トラブル”に発展することもあります。


→ 社外との信頼関係を保つためにも、早めの共有と対応方針の提示が大事です。


こうしたトラブルは、事前に“意識していれば防げた”ものばかりです。次章では、こうした混乱を乗り越えたあと、どんな選択肢で経理体制を立て直すべきかを解説します。



今すぐ確認しておきたい経理の“危ないポイント”チェックリスト


経理部長が辞めるとき、見落としがちなのが「どこに何があったのか、本人にしかわからない状態」になっていたこと。

これはいわゆる“属人化”と呼ばれる状態で、退職後に業務が完全に止まる原因の9割がここにあります。まずは、下記のチェックリストで現状を確認してみてください。


会計ソフトの管理者パスワードが、部長専用になっている

 → 他のメンバーでログインできない、再設定できないリスク。


銀行口座のログイン情報を、部長しか知らない

 → ネットバンキングで残高も振込も確認できない。資金移動が止まる。


経費精算や給与のルールが「なんとなく」で運用されている

 → 明文化されておらず、「いつも〇〇さんがやってたから」で済んでいる状態。


月次資料や支払一覧を作っていたのが部長だけ

 → フォーマットもどこにあるか不明。再現ができない。


税理士とのやりとりが属人化している

 → 資料の受け渡しも会話内容も「部長と税理士だけの関係」。他の社員は関知していない。


もし、2つ以上当てはまったなら──退職までに対策を講じないと、業務の継続性が深刻に脅かされる可能性があります。


「うちはまだ大丈夫」と思っていた企業こそ、見えない“沈没リスク”を抱えているもの。次章では、これらの課題に対してどう組織を再構築すべきかを詳しく解説していきます。




5. 経理再構築の3つの選択肢


経理部長が抜けたあと、経営者として必ず考えなければならないのが「これから誰が経理を担うのか?」という問いです。


ただしここで注意したいのは、「とりあえず人を採ればOK」ではない、ということ。経理部長が担っていたのは、実務以上に判断・設計・信頼の構築といった“高度で属人的な仕事”でした。


それをどう再構築していくか?選択肢は大きく分けて、以下の3つです。



A. 社内から後任を育成 or 採用する


内部のメンバーを昇格させたり、新たに採用するルートです。現場をよく知るスタッフを昇格させることでスムーズな引き継ぎが期待できますし、社内コミュニケーションの継続性という面でも安心感があります。


ただし注意点は2つ:

  • 実務はできても判断ができるとは限らない

  • 育成には時間がかかり、すぐの即戦力にはなりにくい

また、中小企業の場合「経理部長クラスを採用できるほどの条件が出せない」という声も少なくありません。



B. 経理部を“チーム制”に変える


これを機に、「◯◯さんが全部わかってる」という体制をやめ、複数人で業務を分担するスタイルに移行する選択肢もあります。


たとえば:

  • 請求・入金確認 → Aさん

  • 給与・社保対応 → Bさん

  • 税理士との調整・資金繰り → 経営者+社外専門家

といった形で、人に業務をひもづけず、仕組み化・標準化を進めることができます。

属人化を防ぎ、今後また人が入れ替わってもダメージが少なくなる“強い経理部”をつくるチャンスです。



C. 経理代行を活用する


即効性とリスク回避を両立したい場合、有効なのが経理代行の活用です。

記帳、請求書発行、支払処理、給与計算など、必要な業務だけをプロに切り出して委託できるため、

  • 短期間だけの利用(穴埋め)

  • 長期的な外部パートナーとしての連携いずれの選択肢にも対応できます。


📌 harborsの「経理代行ステーション」では、「決算だけ頼みたい」「給与計算と請求業務だけ外注したい」など、スポットでも柔軟に対応可能。後任採用までの“つなぎ”としても、本格的な“外注化”としても、状況に合わせて設計できます。




6. 経理代行という選択肢:こんな会社が向いている


「経理代行って聞いたことはあるけど、うちの会社でも使えるの?」そう思っている経営者は少なくありません。


実は最近、経理代行を導入する中小企業が増えている理由のひとつが、まさに今回のような「経理部長の退職」による緊急対応なのです。



✅ 経理代行に向いている会社の特徴


以下のような企業・組織では、経理代行の活用が特に効果的です。


✔️ 経理責任者を常勤で雇うほどのボリュームがない

→ 毎日フルタイムで経理が必要なわけではない。 でも正確性と専門性は求められる──そんな“中途半端な経理ニーズ”をカバーできます。


✔️ 後任が見つかるまでの「つなぎ」が必要

→ 採用には時間がかかる。その間の請求・支払・給与が止まっては困る。 経理代行なら即日スタートも可能です。


✔️ 属人化をやめて、仕組み化を進めたい

→ 「●●さんしかわからない」を卒業したい企業にはぴったり。 クラウド会計や標準マニュアルを活用し、透明性と再現性のある経理体制がつくれます。


✔️ 税理士に“経理全部”を任せていると思っていた

→ 実は多くの税理士は、月次決算や年末調整はやってくれても、日々の請求書作成や支払処理までは請け負っていないことも。

「じゃあそれ誰がやるの?」という穴を埋めるのが、経理代行です。



✅ 経理代行って、どんなふうに頼めるの?


「ぜんぶ丸投げ」じゃないと頼めない…そんなことはありません。


📌 harborsの「経理代行ステーション」では、以下のようなパーツごと”の依頼もOKです:

  • 記帳だけ(クラウド会計対応)

  • 給与計算だけ(勤怠入力〜明細発行まで)

  • 請求書の発行・管理だけ

  • 月次資料の作成+税理士との調整

業務単位で依頼できるからこそ、「必要なところだけ外注」が実現できるのです。



✅ 経理代行=「最後の手段」ではなく「経営判断のひとつ」


部長が辞めたから仕方なく…ではなく、これを機に経理業務の在り方を見直す会社が増えています。


  • 経理を**“仕組み”として再構築する**

  • 経営と数字の距離を近づける

  • コストとクオリティのバランスを最適化する

そのための「経営判断のひとつ」として、経理代行を前向きに検討する価値は十分にあります。




7. Q&A


Q1. 経理部長が有給消化に入ってしまい、現場が回りません…


A:いますぐ“業務の優先順位”を整理し、外部リソースを活用しましょう。

特に支払い・請求・給与計算の3点は止めてはいけません。社内での対応が難しい場合は、税理士や経理代行と“つなぎ契約”を結んで業務を動かすことが最優先です。



Q2. 会計ソフトや銀行口座のログイン情報が不明です…


A:焦らず、社内外の管理ルートを洗い出しましょう。

クラウド型のソフトであれば「パスワード再設定」や「管理者権限の委譲」が可能です。一方で、ローカルPCや紙の帳簿でしか保管されていないケースは危険信号。早急にIT環境と情報管理の見直しが必要です。



Q3. 税理士にすべて任せておけば問題ないのでは?


A:税理士が担当するのは「会計・申告」。日々の経理実務は“別物”です。

多くの経営者が勘違いしがちですが、税理士が対応するのはあくまで**「決算や申告の処理」**。日々の請求書発行、支払処理、従業員の経費精算、給与の計算などは、自社内 or 経理代行でやる必要があります。



Q4. 経理代行って高いんじゃないですか…?


A:業務単位で頼めるので、コスト調整がしやすいのが強みです。

たとえば記帳代行なら月1〜2万円台〜の料金設定も一般的。また、「請求書の発行だけ」「給与だけ」など必要な業務だけ切り出せるため、フルタイム人件費に比べてコストパフォーマンスが高いケースも多いです。



Q5. 経理部長が辞めたあと、もう誰にも聞けないのが不安…


A:属人化から“相談できる仕組み”へ。

harborsの経理代行ステーションでは、業務代行だけでなく、チャット・メールなどでの相談体制も整備しています。「こういうとき、どう判断すれば?」という**“軽い聞き先”を持っておくこと**が、経営者の不安軽減につながります。




8. まとめ:経理部長の退職は、ピンチであり、再設計のチャンス


経理部長の退職。それは、会社にとって大きなショックであり、不安の連鎖を生む出来事かもしれません。

ですが──「今まで何となく回っていたもの」を見直す、最大のチャンスでもあります。


  • 属人化していた業務の棚卸し

  • ログイン情報や決裁フローの可視化

  • 組織として“仕組みで動く経理部”の再構築

  • 社外との信頼関係の再設計

  • 必要に応じた外部プロ人材の活用


これらは、部長が抜けなければ見直さなかったことばかりです。逆に言えば、今こそ「経理の再設計」を進める絶好のタイミング。




📌 最後に


もし今、「誰に頼ればいいかわからない」「何から手をつけていいか見えない」とお困りであれば、私たちharborsの「経理代行ステーション」がお手伝いします。


  • 記帳だけ

  • 請求書の作成だけ

  • 月次決算の補助だけ

  • 税理士との連携だけ

必要なところだけ、必要な期間だけ、あなたの会社に合ったサポートをご提案します。

経理部長の退職は、確かにピンチ。でも、ここを乗り越えた先には、より強い経理体制と、経営の安心感が待っています。


今できる一歩から始めてみませんか?




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(c) 経理代行ステーション 運営:㈱harbors

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