top of page

中小企業で経理担当者が突然退職したら?考えられるリスクと緊急対策、再発防止策まで解説

  • 執筆者の写真: 横浜経理代行ステーション
    横浜経理代行ステーション
  • 3 日前
  • 読了時間: 16分



中小企業の経営者にとって、経理担当者の突然の退職は、会社の根幹を揺るがす大きなリスクです。請求書の発行、支払い管理、給与計算、税務申告――これらを日々支えていた担当者が、ある日突然「辞めます」と言い出したとき、会社の業務は一気に混乱します。


「経理は一人で大丈夫だろう」と任せきりにしていた結果、業務の全体像が見えなくなっていたり、引き継ぎ資料が整っていなかったりするケースも少なくありません。さらに、日常的な数字の管理だけでなく、資金繰りや税務対応のタイミングが重なることで、対応を誤れば取引先や従業員との信頼関係にまで影響を及ぼす可能性もあります。


この記事では、経理担当者の突然の退職に直面した中小企業の経営者が、まず何をすべきか、そして二度と同じ事態に陥らないためにどう備えるべきかを、実務的な視点から解説していきます。「会社のお金を止めないために、今すぐできること」を知りたい経営者の方は、ぜひ読み進めてみてください。



経理担当者が突然退職することのリスクと実際の影響

中小企業では、経理業務を1人の担当者に任せきりにしているケースが少なくありません。そのため、その担当者が突然退職することで、業務に大きな支障をきたすリスクがあります。


業務が完全にストップする可能性

経理担当者がいなくなると、請求書の発行、支払い処理、給与計算、会計ソフトへの入力、税務申告などの業務が滞ります。これらはすべて会社のお金に関わる重要な業務です。ひとつでも止まれば、資金繰りに影響し、取引先や従業員の信頼を損なう事態にもなりかねません。

特に月末や決算期に重なると、納税遅延や支払遅延によるペナルティが発生する可能性もあり、会社にとっては重大な損失です。


引き継ぎが行われないことによる混乱

突然の退職では、十分な引き継ぎができないまま担当者が去ってしまうケースがほとんどです。その結果、以下のような問題が起こりやすくなります。

  • 会計ソフトのログイン情報がわからない

  • 書類や証憑がどこにあるかわからない

  • どの取引先にいつ請求するのか把握できない

  • 税理士とのやりとりの履歴が不明

こうした情報の欠落により、次に業務を引き継ぐ人が仕事に着手できず、復旧に時間と手間がかかるのです。


不正やミスの発覚

担当者が一人で業務を抱えていた場合、不正や入力ミスに気づきにくい体制になっている可能性があります。退職を機に過去の帳簿を確認したところ、処理漏れや勘定科目の誤りが見つかるケースもあります。

さらに、意図的な不正があった場合には、過去にさかのぼって税務リスクが発生することもあり、対応には専門的な知識と多くの時間が必要になります。


社内外への信用不安

経理が機能しないと、給与の遅延や請求漏れ、支払いミスが発生しやすくなります。それによって、

  • 社員のモチベーション低下や不満の高まり

  • 取引先との信頼関係の悪化

  • 銀行・税務署への対応遅延による信用低下

といった問題が連鎖的に起き、経営全体の信頼性に関わるリスクへと発展する可能性もあります。


このように、経理担当者が突然退職することは、「たかが一人の退職」では済まされないほど、会社全体に深刻な影響を及ぼすリスクを含んでいます。準備や備えがなければ、回復に長い時間がかかってしまいます。



緊急対応のステップ:まず何を優先すべきか

経理担当者が突然退職した場合、最も重要なのは「混乱を最小限に抑え、業務の止まりを防ぐこと」です。感情的にならず、冷静に対応すれば致命的なトラブルは避けられます。ここでは、経営者がすぐに取るべき行動を3つのステップに分けて解説します。


1. 業務の洗い出しと現状把握

まず最初にすべきことは、経理担当者が行っていた業務をすべてリストアップすることです。日常業務から月次・年次業務まで、具体的に書き出してみましょう。


たとえば


  • 請求書の作成・送付

  • 支払処理(仕入・外注費など)

  • 給与計算・明細作成

  • 会計ソフトへの入力

  • 領収書や証憑の整理

  • 税理士や社労士とのやり取り

  • 決算資料の準備・提出


担当者が残していったファイルやメール、社内チャットの履歴などを活用して、業務の全体像を把握することが第一歩です。


2. 緊急性の高い業務の優先対応

次に、リスト化した業務の中で、「今すぐ対応しないと会社に支障が出るもの」を特定し、優先順位をつけて処理します。


たとえば、


  • 請求書の発行が遅れれば入金も遅れる

  • 給与支払日が迫っている場合、従業員に不安が広がる

  • 税金や社会保険の納付期限を過ぎると延滞税が発生する


このような「期限のある業務」や「会社の信頼に関わる業務」を最優先で進めましょう。

可能であれば、一時的に外部の専門家(税理士・社労士・経理代行)に緊急対応を依頼することで、混乱を抑えることも選択肢に入れてください。


3. 社内対応と外部支援の切り分け

社内で対応できる業務と、専門性が高く社内だけでは難しい業務を切り分けることも大切です。


たとえば、


  • 経費精算や領収書のファイリング → 社内で対応可能

  • 給与計算や月次決算、仕訳入力 → 外部の支援が必要


社内メンバーが対応可能な部分は一時的に分担し、業務経験のない部分は無理をせず、外部に依頼する判断が重要です。


すべてを社内で抱え込もうとすると、ミスや遅延のリスクが高まり、かえって業務全体に支障をきたす可能性があります。


経理の混乱を最小限に抑えるには、「何をすべきか」「どこまで自社でできるか」「どこから外注すべきか」を見極め、スピード感を持って初動をとることがカギとなります。



業務の属人化が招くトラブルとその解消法

経理担当者の突然の退職で業務が回らなくなってしまう背景には、業務の属人化という構造的な問題が隠れているケースが多くあります。

属人化とは、特定の人にしか分からない業務やノウハウが集中し、他の人が代替できない状態を指します。中小企業では人員が限られるため、どうしても一人の担当者に業務を集中させがちですが、これは大きなリスクを伴います。


属人化による主なトラブル

  • 業務の引き継ぎができない 担当者が突然退職すると、どの業務が未処理なのか、どこにどんな資料があるのかが把握できず、残された社員が何をどうすればよいか分からない状態になります。

  • 情報が担当者の頭の中にしか存在しない 会計ソフトのログイン情報、取引先ごとの支払条件、過去のトラブル対応履歴などが共有されておらず、業務がブラックボックス化してしまうケースも少なくありません。

  • ミスや不正の温床になる チェック機能が働かない環境では、入力ミスや処理漏れ、さらには不正行為が発生しても発見が遅れるリスクがあります。属人化は、ガバナンスや内部統制を弱める要因にもなります。

  • 業務の引き継ぎに時間と労力がかかる 新しい担当者が来ても、前任者しか知らない情報が多ければ、一人前になるまでの教育コストが膨らみ、戦力化まで時間がかかります。


属人化を解消するための取り組み

属人化を防ぐには、日頃から「誰でも見れば分かる状態」に業務を整備することが重要です。具体的には次のような対策が有効です。


  • 業務フローの見える化・マニュアル化

    請求書発行の手順や、月次処理の流れ、使用しているツールの操作方法などをドキュメント化して共有しましょう。ファイルの保存場所や命名ルールも明確にしておくと、他の社員でもすぐに対応できます。

  • 経理ツールのクラウド化と共有

    クラウド型の会計ソフトや経費精算ツールを導入することで、複数人での同時作業や情報の共有がしやすくなります。また、バックアップやセキュリティ面でもメリットがあります。

  • 定期的な業務の棚卸しとレビュー

    「この業務は本当にこの人だけでいいのか?」と定期的に見直しを行い、担当の偏りを是正する機会を設けることも属人化防止には有効です。


  • 業務のクロストレーニング

    経理担当者が休んだ場合にも備えて、一部業務を他の社員と共有したり、簡単な処理を経営者自身が把握しておくこともおすすめです。完全に代替できなくても、「最悪の事態を防ぐ」ための準備になります。


属人化は放置すればするほど、退職やトラブル時のダメージが大きくなります。「この業務は本当にこの人だけが知っていればよいのか?」と定期的に自社の体制を見直すことが、強い経理体制への第一歩となります。




外部の経理代行・顧問の活用によるメリット・デメリット

経理担当者の突然の退職によって社内で業務が回らなくなった場合、外部の専門家に一部またはすべての業務を委託する「経理代行」の活用が有力な選択肢となります。特に中小企業では、人材採用や教育にかかる時間やコストを考えると、アウトソーシングは非常に現実的な手段です。

ここでは、経理代行や顧問税理士を活用する際のメリットデメリットを整理します。


外部サービスを活用するメリット

  • 即戦力としてすぐに対応してもらえる

    経理代行サービスや税理士事務所には、経験豊富な専門スタッフが在籍しており、依頼すれば短期間で業務を引き継ぐことが可能です。特に緊急時には、スポット契約で即日対応してくれるケースもあります。

  • 経理の正確性と品質が担保される

    専門家に任せることで、入力ミスや処理漏れが減り、帳簿や申告書の精度が上がります。法改正や会計基準にも対応できるため、経理業務の信頼性が高まります。

  • 業務フローの改善提案も期待できる

    単に作業を代行するだけでなく、「この処理はもっと効率化できます」「この部分はクラウド化した方がいいです」といった改善提案を受けられる点も大きな利点です。

  • 人件費と比較してコストを抑えやすい

    経理代行の費用は、月額数万円〜業務内容に応じて調整可能なことが多く、正社員を一人雇うよりもトータルコストは抑えられる傾向にあります。社会保険料や教育コストがかからない点も魅力です。

  • 一部だけ依頼することもできる柔軟性

    請求書発行だけ、給与計算だけ、仕訳入力だけなど、必要な部分だけ切り出して依頼できるため、自社の体制や状況に応じて柔軟に運用できます。


外部サービスを活用するデメリット

  • 継続的な費用が発生する

    当然ながら業務を委託すれば、毎月の固定費やスポット費用が発生します。業務量や対応範囲によっては、人を雇うよりコストが高くなるケースもあります。

  • 自社業務への理解に時間がかかる

    外部の担当者が自社の業種や慣習を理解するまでには、一定の説明や情報共有が必要です。最初の立ち上がりに多少の手間がかかる点は覚悟しておく必要があります。

  • 情報漏えいなどの懸念がある

    経理情報は機密性が高いため、信頼できる業者と契約し、秘密保持契約(NDA)を締結することが前提となります。管理体制が整っていない業者への依頼は避けるべきです。

  • 社内にノウハウが蓄積されにくい

    経理をすべて外注してしまうと、社内に知識や経験が残りにくくなるという課題もあります。ただし、社内と外部のハイブリッド運用にすることで、これを回避することも可能です。


外部サービスの活用は、「今すぐ対応が必要」「専門的な作業を任せたい」「人材確保が難しい」といった課題を抱える企業にとって、非常に有効な手段です。一方で、導入にあたってはコストや情報管理のルールを明確にし、信頼できるパートナーを選ぶことが前提となります。状況に応じて、柔軟に検討することが求められます。




今後の再発防止策(採用・マニュアル・外部連携)

経理担当者の突然の退職を一度経験した企業では、「もう二度と同じことを繰り返したくない」という思いが強くなるはずです。そのためには、短期的な対処だけでなく、長期的な視点での再発防止策を講じることが欠かせません。


ここでは、「人」「仕組み」「外部支援」の3つの視点から、実践的な対策を解説します。


経理担当者の採用と役割の分散

まずは経理体制の見直しです。これまでのように「一人で経理をすべて担当する」形では、また同じようなリスクが発生する可能性があります

  • 正社員だけでなく、パート・業務委託・派遣も選択肢に入れる

    人手が限られている中小企業では、すべてをフルタイム社員で補うのは難しいこともあります。業務を切り分けて複数人で分担する体制を構築すれば、一人が抜けても業務が止まりにくくなります。

  • 経理経験者を採用する場合は、属人化しない体制を前提に

    経験者を新たに採用する際も、「また一人にすべてを任せてしまう体制」に戻さないよう注意が必要です。採用時点で業務の引き継ぎルールや業務マニュアルの整備をセットで行うことが大切です。


業務マニュアルの整備と情報共有

属人化を防ぐためには、誰が見ても業務を再現できる状態にしておくことが基本です。


  • 業務ごとの手順書を用意する

    請求書発行、支払処理、給与計算、税理士との連携方法など、業務ごとの「やり方」「使う資料」「確認すべきポイント」を文書化しましょう。手順の中に担当者しか知らないことが含まれていないか、定期的にチェックすることも大切です。

  • クラウドストレージや共有フォルダを活用する

    紙ベースの資料や、個人のPCにしかない情報では他の社員がアクセスできません。共有できる場所にデータを集約し、ファイルの場所や更新ルールを明文化することで、情報の透明性が高まります。

  • 定期的なレビューでアップデートを忘れずに

    マニュアルを作ったまま放置していては意味がありません。制度改正や業務フローの変更があればすぐに反映し、常に最新の内容に保つ仕組みを取り入れましょう。


外部連携とバックアップ体制の構築

社内だけで業務を完結させるのではなく、信頼できる外部パートナーと平時からつながっておくことが、いざというときの保険になります。


  • 税理士や経理代行業者との契約を見直す

    「決算期だけの付き合い」になっている税理士との関係も、月次ベースでのサポート契約に切り替えることで、日常業務の補助や相談対応がしやすくなります。

  • 経理の一部を外部委託しておく

    記帳や給与計算、月次チェックなど、負担の大きい部分だけでも経理代行に依頼しておけば、担当者が不在になっても業務の継続性が確保できます。また、外部と日常的に情報を共有していれば、急なトラブル時でもスムーズに対応してもらいやすくなります。

  • クラウド会計ソフトの活用で可視化を推進

    クラウド型の会計ソフトを導入すれば、社内外の複数の担当者が同時にデータを閲覧・編集できるようになります。これにより、「誰がやっているか分からない」「担当者が不在でデータが見られない」といった属人化リスクが軽減されます。


再発防止のカギは、「人を変えても仕組みが回る体制をつくること」です。特定の担当者に依存しない仕組みづくりを地道に進めることが、長期的に安定した経営につながります。



FAQ:経理担当者の突然の退職にまつわるよくある質問

ここでは、実際に中小企業の経営者から寄せられることの多い、経理担当者の急な退職に関する疑問や不安について、よくある質問形式でお答えします。


Q1. 経理代行は急にお願いしても対応してもらえますか?

A. 多くの経理代行業者では、緊急対応を受け付けています。急な退職や引き継ぎのない状態で困っている場合でも、状況に応じて即日または数日以内に対応を開始できるサービスがあります。ただし、事前のヒアリングや契約が必要になるため、できるだけ早めに相談することが重要です。


Q2. 経理代行を使う場合の費用はどれくらいかかりますか?

A. 業務の内容や量によって異なりますが、月額数万円から対応可能です。たとえば、記帳代行のみであれば月3~5万円程度、給与計算や請求書発行まで含めると月5〜10万円以上になることもあります。スポットでの対応や一部業務のみの委託も可能なため、状況に応じて無理のない範囲で利用できます。


Q3. 経理業務の一部だけ外部に任せることはできますか?

A. はい、一部業務だけを切り出して依頼することも可能です。たとえば、月次決算や給与計算だけ外注し、それ以外は社内で対応するといった運用ができます。外部委託というと「すべてを丸ごと任せる」イメージを持たれがちですが、業務単位で柔軟に依頼できるのが経理代行のメリットです。


Q4. 社内に誰も経理がわかる人がいなくても依頼できますか?

A. 問題ありません。むしろそのようなケースのために経理代行は存在しています。経理担当者が突然退職し、残された社員が誰も業務内容を把握していない場合でも、代行業者がヒアリングや資料確認を通じて状況を整理し、必要な業務を再構築してくれます。最初は時間がかかることもありますが、着実に業務を復旧させることが可能です。


Q5. 情報漏えいが心配ですが、安全性は大丈夫ですか?

A. 多くの業者が秘密保持契約(NDA)を結び、セキュリティ対策を徹底しています。外部に経理を任せることに抵抗を感じる方もいますが、実績のある信頼性の高い業者を選べば、情報管理は厳格に行われます。また、クラウド会計ソフトなどを活用し、アクセス権限を制限することで、より安全な運用が可能です。


Q6. 税理士に経理を任せることもできますか?

A. 税理士は本来、申告業務や決算対応を専門としていますが、日常的な経理業務も対応してくれる事務所もあります。ただし、すべての税理士が記帳代行や請求書処理まで対応しているわけではないため、まずは相談し、業務範囲を確認することが大切です。必要に応じて、税理士と経理代行業者を併用するケースもあります。


これらの不安や疑問は、ひとりで抱え込まず、専門家に相談することで解消できます。経理は会社の土台を支える重要な部門だからこそ、早めの対応と信頼できる支援体制の構築が鍵となります。



経理の急な困りごと、まずは無料相談をご利用ください

経理担当者の突然の退職は、どの企業にも起こり得る“非常事態”です。「今月の給与計算が間に合わないかもしれない」「請求書の発行ができず売上が止まる」「経理の全体像が誰にもわからない」――そんな切迫した状況で、「どこに相談すればいいのかわからない」という経営者の声は少なくありません。


そのようなお悩みに対して、経理代行ステーションでは、中小企業の「経理の困った」に特化した無料相談を実施しています。


  • 緊急対応が必要な方には、最短で即日対応可能

  • 請求書発行、支払処理、給与計算など、スポット依頼もOK

  • 属人化した業務の整理や、経理業務の見える化の支援も対応

  • 将来の仕組みづくりも含めて、経理体制を整える伴走型の支援


「とにかく一度、状況を聞いてほしい」「他社はどう乗り越えたのかアドバイスが欲しい」そんなときは、遠慮なく無料相談をご活用ください。


ご相談はオンライン・電話のどちらでも対応可能です。まずはお気軽に、経理代行ステーションの無料相談ページをご覧ください。「詳しくはこちら」からアクセスできます。


経理の混乱は、放置すれば事業全体に波及します。「いま相談すること」が、未来の安定経営につながります。

Comments


(c) 経理代行ステーション 運営:㈱harbors

bottom of page