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経理が突然退職。想定外の事態に、経営者はどう動くべきか?

  • 執筆者の写真: 恵 菅原
    恵 菅原
  • 2 日前
  • 読了時間: 9分

更新日:1 日前



1. 「え、明日から来ない?」――その衝撃は、決して他人事ではありません


「今日から来ませんので、退職の手続きをお願いします」その連絡は、まさかの退職代行サービスからのメールでした。本人からは一切連絡がなく、事前の相談も引き継ぎもないまま、突然の退職宣言――。


あるいは、有給明けに出社予定だったはずの経理担当が、朝になっても現れず、電話もLINEも既読がつかない。「寝坊かな?」「体調不良かも?」と楽観的に考えていた数時間後、「これ…飛んだんじゃない?」と、社内の空気が一変します。


慌ててPCを開くも、ログインパスワードは不明。

給与計算は未処理、請求書の発行は滞り、支払い期日はすぐそこ――。ようやく机の中から退職届が見つかったとき、現場はただ、呆然と立ち尽くすしかありませんでした。


こんな“突然の退職”は、決してフィクションではありません。いま、多くの企業で**「経理がいなくなった瞬間、会社の手足が止まった」**という声が実際に起きています。


問題は、「辞めたこと」ではなく、辞められた瞬間に会社が止まる設計になっていたこと。この記事では、その原因と、これからどう立て直すべきかを一緒に考えていきましょう。



2. なぜ突然退職してしまうのか?――見えにくい背景と小さなサイン


「突然辞めるなんて、無責任だ」そう感じるのは当然かもしれません。でも、本当に“突然”だったのでしょうか?


実際には、経理担当者の中にじわじわと積もっていった不満や疲労感が、ある日限界を迎えただけ――というケースが少なくありません。


❖ 経理担当者が抱えやすい“見えないストレス”

  • ミスが許されない緊張感 数字に強い正確性が求められ、ひとつの入力ミスが大きなトラブルにつながるプレッシャー。

  • 業務範囲の肥大化 会計、請求、支払処理、給与計算、税理士対応まで。気づけば“何でも屋”に。


  • 属人化の孤独 「この作業は○○さんしかできない」と言われ続け、代わりもおらず、相談相手もいない。


  • 評価されにくい立場 売上に直結しない部署だからこそ、成果が見えづらく、感謝される機会も少ない。



❖ サインは、実は出ていたかもしれません

  • 残業が増えていた

  • 引き継ぎの話題を避けていた

  • 会話のトーンが明らかに変わった

  • 「自分が辞めたら大変ですよね」などとポツリと漏らしていた


これらは、**“限界のサイン”**だったのかもしれません。

それに気づけなかったのは、経理業務が“見えにくい”から――そして、日常が問題なく回っているうちは、放置されやすいからです。


大切なのは、「辞められてしまった」という事実を責めるのではなく、「なぜ辞めるしかなかったのか?」に目を向け、組織としての受け皿やケアの仕組みを見直すこと。


次章では、そうした仕組みがない状態で突然辞められてしまったときに、何から手をつけるべきかを整理していきます。


3. 突然辞められても慌てないために――まずは“現状把握”から始めよう


経理担当が突然いなくなると、何から手をつけていいかわからなくなります。

でも、ここで立ち止まると会社の“お金の流れ”が止まってしまう


だからこそ重要なのは、すぐに「今どこが止まっていて、何ができるか」を把握することです。


✅ 今すぐ確認すべき5つのポイント

  1. 会計ソフトのログイン情報は把握できているか?  管理者パスワードが経理担当者だけのものになっていないか。 アクセスできなければ、帳簿も請求書も給与もチェック不能に。


  2. 月末・月初に控えている業務は?  支払処理・請求書発行・給与計算など、今週・今月やるべき業務の洗い出し。 「未処理のまま」になっている案件の有無を確認。

  3. 税理士・社労士など外部パートナーとの連携状況は?  誰と何をやり取りしていたか。共有フォルダ・メール・チャットを整理。

  4. 銀行やクレジット関連の権限設定はどうなっているか?  ネットバンキングのログイン権限や振込承認のフローに“穴”がないか。

  5. 社内で一時的に対応可能な人材はいるか?  経理経験者、または外注化までの“つなぎ”対応ができるスタッフを検討。



🔍 “パニック”ではなく“棚卸し”の目で見る

突然の出来事に対して、「誰が悪い」「なんでこうなった」と感情的になるのは自然なことです。でも、それでは業務は回りません。


ここは**「冷静に状況を棚卸しするタイミング」**と捉えましょう。

何がわかっていて、何がわからないのか。誰が代わりにできて、誰に頼るべきか。“見える化”することが、最初の一歩になります。


次章では、こうした危機を招いた背景――「経理業務の属人化」がどこに潜んでいたのかを一緒に掘り下げていきます。


4. 属人化していたのは誰のせい?――見落としがちな“仕組みの欠如”


突然辞められて初めて気づくのが、「えっ、この業務、○○さんしか知らなかったの?」という“ブラックボックス”。けれどそれは、その人が悪かったわけではありません。問題は、その状態を放置してしまった組織の設計にあります。


🔍 属人化が生まれる理由は、こんなにシンプル

  • 「慣れてるから任せよう」の繰り返し  → 時間もないし、教えるより自分でやった方が早い。そんな空気が属人化を助長します。


  • マニュアルを作る文化がない  → 「頭の中に入ってるし」「そんなに複雑じゃないから大丈夫」と、可視化を後回しに。


  • 人手不足で二人体制が組めない  → 担当者が1人しかいない状況で“もしもの時”を想定できないまま進行。

  • 経理は「裏方」で表に出づらい  → 声が上がりにくく、業務の見直しも後回しにされがち。


💡 属人化を招く“沈黙の合意”

経理の現場では、ときに**「頼る」「甘える」ことが許されにくい空気**が生まれます。


ミスが許されず、「ちゃんとやって当たり前」。

でもその仕事を誰も把握していない。


結果、「○○さんがいなければできない」という状況が、暗黙のうちに常態化していくのです。


属人化は、“その人が優秀だった証”でもあります。でも、それが「辞められたら詰む」状況をつくってしまっていたのだとしたら――今こそ、体制を見直すタイミングです。


次章では、「人を採用する」以外の現実的な対応策=“外注”という選択肢についてご紹介します。



5. 対応策は「すぐ採用」だけじゃない――外注という選択肢を知っていますか?


「経理が辞めた。じゃあ、採用しよう」それはもちろんひとつの正解です。

でも、本当にそれだけが答えでしょうか?


採用には、時間もコストもかかります。

仮に良い人材が見つかっても、入社は1~2か月先、そこから引き継ぎを始めて――となれば、実際に現場が安定するのは3か月以上先かもしれません。



その間、会社の経理業務はどうなるのでしょうか?


🧩 経理代行という“つなぎ”と“仕組みづくり”の選択肢

いま、外部の経理代行サービスを使って、危機を乗り切る企業が増えています。


経理代行の活用パターン(例):

  • 月次決算・記帳代行だけ任せる

  • 請求書発行・支払い処理のみ外注

  • 給与計算だけプロに依頼する

  • 仕訳や書類整理は社内、専門部分だけ外部に委託


ポイントは、“全部まるっと任せる”必要はないということ。自社の状況に合わせて、足りない部分だけ補うことが可能です。



👥 採用+外注の“ハイブリッド体制”という考え方

「将来的には正社員に戻したいけど、今すぐには無理」

そんな場合でも、外注を“つなぎ役”として活用しながら、新しい体制を段階的に整えるという選択ができます。


  • 業務を一部切り出して外注

  • 社内の業務を整理しながら、属人化しない運用へ移行

  • 並行して採用活動を進めることで、“業務が止まらない”状態をキープ


経理業務は「人を入れる」だけで解決しない

経理の課題は、人がいなくなったことだけではなく、「その人にしかできない状態」だったことにあります


だからこそ、採用と同時に、外部リソースの活用・業務の見直し・マニュアル化などを**「仕組み」として整えていくことが重要です。


次章では、この“突然の退職”をきっかけに、経理体制そのものを見直すためのヒントをお届けします。


6. 今がチャンス。“止まらない経理”をつくるタイミングです


経理担当者の突然の退職――

それは、確かに想定外の出来事だったかもしれません。けれど、こう考えてみてください。


「辞められて困った」ではなく、「辞められたことで、自社の弱点に気づけた」


これは、属人化を断ち、会社の“仕組み”を見直す絶好のチャンスです。



🛠 見直すべきは、“人”ではなく“体制”

経理体制を立て直すには、特定の誰かに依存しない仕組みづくりが不可欠です。具体的には、次のようなことから始められます。


✅ 属人化を防ぐ体制作りのヒント

  • 業務フローを可視化する(手順書・マニュアルを整備)

  • 定期的に“業務棚卸し”を行う(今誰が何をどこまでやっているか)

  • 複数人での確認体制を導入する(チェック・承認の分担)

  • 業務を一部でも外注することで“属人性”を減らす

  • 経理担当にも“代打”を用意しておく(いざというときのバックアップ体制)



💡 実際に変われた企業の一例

ある中小企業では、長年一人で経理を担っていたベテランスタッフが退職。

一時は社内が混乱しましたが、経理代行の活用と業務マニュアル化に取り組んだ結果、**「どんな人でも引き継ぎができる体制」**を構築。


現在は、パートと外注のハイブリッドで、コストも下げつつ安定した経理運用を実現しています。


このように、突然のトラブルこそが、組織をアップデートするきっかけになります。


“止まらない経理”――それは、特別な会社だけが手にするものではありません。備えと仕組み次第で、**どんな企業にも実現可能な「経理の未来のカタチ」**です。



7. まとめ:「突然辞められた」ではなく、「備えていなかった」と気づけたあなたへ


経理担当者の突然の退職は、間違いなく会社にとって痛手です。でも本当の問題は、その瞬間に“業務が止まってしまう仕組み”だったのだとしたら――、それに今、気づけたことが何より大切です。


💡 経理がいないと困るのは、「辞めたから」ではなく「任せきりだったから」

属人化していたこと、

引き継ぎの仕組みがなかったこと、

経理という仕事が“いて当然”になっていたこと――


今なら見直すことができます。

体制を整えれば、もう「突然の退職」に怯える必要はありません



✅ Harborsの経理代行ステーションは、そんな企業の味方です

私たちは、「経理がいなくなったその日から」相談に来られる企業を多く見てきました。

  • 「今月の給与計算、間に合うでしょうか?」

  • 「会計ソフトに入れません」

  • 「税理士とのやりとりが止まりました」

そんな“今まさに困っている”状態からでも大丈夫。まずはお話をお聞かせください。



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(c) 経理代行ステーション 運営:㈱harbors

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