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クラウド会計を入れるだけでは経理が楽にならないのはなぜ?

  • 1 日前
  • 読了時間: 12分

更新日:1 日前

クラウド会計を入れるだけでは経理が楽にならない理由を解説するアイキャッチ

 

「クラウド会計を入れたのに、入力作業も確認作業も思ったほど減らない」と感じる中小企業は少なくありません。銀行口座やクレジットカードを連携しても、仕訳の修正や領収書の確認が残り、かえって管理する画面が増えたように感じることもあります。

 

クラウド会計は、経理を自動化するための便利な道具です。ただし、ソフトを契約してデータを連携しただけで、会社の経理業務全体が自動的に整うわけではありません。

 

この記事では、クラウド会計を入れるだけでは経理が楽にならない主な原因と、負担を減らすための見直し方を、初心者にもわかりやすく説明します。

 

 

クラウド会計を入れるだけでは、経理は自動化されない

 

先に答えをお伝えすると、クラウド会計で経理が楽にならない最大の理由は、ソフトの機能ではなく、ソフトへ入る前後の業務が整理されていないことです。

 

銀行明細を自動で取り込めても、取引内容が分からなければ、人が確認して勘定科目を決める必要があります。請求書や領収書が紙・メール・チャットに分散していれば、資料を探して集める時間も残ります。

 

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)も、中小企業のDXでは、新しいツールの導入だけでなく、既存の業務プロセスへの組み込み、目的の共有、利用者の教育が重要だと説明しています。クラウド会計も同じで、導入と同時に運用を整える必要があります。

 

 

  • 誰が、いつまでに領収書や請求書を提出するか

  • 自動取得した明細を誰が確認するか

  • 勘定科目や部門をどのルールで使うか

  • 不明な取引を誰に質問するか

  • 月次の締め日と確認日をいつにするか

 

このようなルールが決まって初めて、クラウド会計の自動化機能を安定して使えるようになります。

 

 

経理が楽にならない5つの原因

 

 

1.初期設定が会社の実態に合っていない

 

クラウド会計は、導入時の設定によって使いやすさが大きく変わります。勘定科目、補助科目、取引先、部門、消費税区分、開始残高などが会社の実態に合っていないと、毎月の修正が増えます。

 

特に、最初から細かく分類しすぎると、入力するたびに判断が必要になります。経営判断に必要な区分と、税務・決算に必要な区分を整理し、使わない項目を増やさないことが大切です。

 

 

2.領収書や請求書の集め方が変わっていない

 

会計ソフトだけクラウド化しても、領収書が机の上、請求書がメール、経費申請が紙のままでは、経理担当者の資料回収は減りません。むしろ、紙とデータの両方を確認する二重管理になる場合があります。

 

提出先を一つに決め、スマートフォン撮影、専用メールアドレス、共有フォルダなど、会社で無理なく続けられる方法へそろえましょう。

 

なお、メールやクラウドサービスで受け取った請求書などは、電子帳簿保存法上の「電子取引」に当たることがあります。国税庁は2026年7月版の一問一答で、電子取引データの保存方法を案内しています。紙へ印刷する前提ではなく、受領から保存までの流れを決めることが重要です。

 

 

3.口座やカードを連携しただけで確認していない

 

銀行口座やクレジットカードを連携すると、明細の転記は減ります。しかし、自動取得された明細が正しい勘定科目になるとは限りません。個人利用との混在、振替取引、返金、分割払いなどは、特に確認が必要です。

 

同じ取引が続く場合は、自動登録ルールを作り、月に一度は未登録明細、重複、残高のずれを確認します。連携が切れていないかを確認する担当者も決めておきましょう。

 

 

4.勘定科目や入力ルールが人によって違う

 

同じ支払いを「消耗品費」にする人と「事務用品費」にする人がいるなど、入力ルールがそろっていないと、自動化の精度は上がりません。部門や取引先の付け方も同様です。

 

すべてを詳しいマニュアルにする必要はありません。毎月よく出る取引について、勘定科目、税区分、部門、証憑の保存場所を一覧にした簡単なルール表を作るだけでも、確認時間を減らせます。

 

 

5.誰が確認・承認するか決まっていない

 

クラウド会計を導入しても、請求金額の確定、経費の内容確認、振込の最終承認など、会社側に残る業務があります。担当が曖昧だと、確認待ちが発生し、月次処理が止まります。

 

入力する人、内容を確認する人、振込を承認する人を分け、締め日までに誰が何をするかを決めましょう。権限も必要な範囲だけ付与すると、効率化と安全性を両立しやすくなります。

 

 

クラウド会計を楽にするための見直し手順

 

 

手順1.現在の経理業務を一覧にする

 

まず、請求書発行、入金確認、領収書回収、経費精算、振込、給与計算、会計入力、月次確認など、毎月行っている業務を書き出します。

 

それぞれについて、担当者、締め日、使用する資料、使用するシステム、困っている点を整理してください。ソフトの設定より先に業務の全体像を見ると、どこを変えるべきか分かりやすくなります。

 

 

手順2.二重入力と紙の受け渡しを減らす

 

同じ金額を請求書システム、Excel、会計ソフトへ何度も入力していないか確認します。データ連携やCSV取込を使える箇所はまとめ、紙を手渡しする工程は共有フォルダや経費精算システムへ置き換えます。

 

ただし、一度にすべて変えると混乱しやすいため、件数が多い業務や毎月時間がかかっている業務から始めるのが現実的です。

 

 

手順3.自動処理と人の確認を分ける

 

定額の家賃や通信費など、内容が毎月ほぼ同じ取引は自動登録ルールに向いています。一方、高額な設備投資、交際費、個人立替、用途が分かりにくい決済などは、人が確認したほうが安全です。

 

自動化する取引と、必ず確認する取引を最初に分けると、チェックの量を減らしながら誤処理を防げます。

 

 

手順4.1か月運用してから設定を直す

 

初期設定だけで完璧に仕上げる必要はありません。1か月運用し、修正が多かった取引、提出が遅れた資料、質問が集中した項目を確認します。

 

自動登録ルール、提出期限、権限、勘定科目の使い方を少しずつ直すことで、2か月目以降の負担を減らせます。

 

 

改善前と改善後で、経理業務はどう変わる?

 

クラウド会計の効果は、ソフトの機能数ではなく、毎月の仕事がどのように変わったかで判断します。ここでは、中小企業で起こりやすい3つの場面を、改善前と改善後に分けて見てみましょう。

 

 

例1.領収書や請求書の回収

 

改善前は、領収書を社員から紙で回収し、メールで届いた請求書は担当者ごとの受信箱から探します。月末になって未提出者へ連絡し、集まった資料を会計ソフトの明細と一件ずつ照合するため、入力前の準備に時間がかかります。

 

改善後は、証憑の提出先を専用メールアドレスや共有フォルダなどに統一し、提出期限とファイル名の付け方を決めます。経理担当者は複数の場所を探し回る必要がなくなり、未提出の資料だけを確認できるようになります。会計ソフトを変えなくても、回収方法を一つにするだけで負担が減る場合があります。

 

 

例2.銀行口座やクレジットカードの連携

 

改善前は、明細を自動取得しているものの、摘要だけでは取引内容が分からず、ほぼすべての仕訳を担当者が確認します。振替取引やカード決済の引き落としを別の取引として登録し、重複が発生することもあります。

 

改善後は、家賃、通信費、サブスクリプションなど、内容が毎月ほぼ同じ取引だけに自動登録ルールを設定します。一方で、高額な支払い、返金、個人立替、用途が不明な決済は自動登録せず、確認対象として残します。すべてを自動化するのではなく、例外だけを人が見る形にすると精度と効率を両立しやすくなります。

 

 

例3.月次の締めと社長への報告

 

改善前は、資料がいつそろうか決まっておらず、経理担当者が空いた時間に入力します。試算表が完成する時期も毎月変わるため、社長が前月の売上や利益、預金残高を確認できる頃には、すでに次の月が進んでいる状態です。

 

改善後は、証憑提出日、入力完了日、確認日、試算表の報告日を決めます。未回収資料や内容不明の取引は一覧にし、質問する相手と回答期限も明確にします。クラウド会計の導入効果は、入力時間の短縮だけでなく、経営数字を早く確認できるようになることにも表れます。

 

 

クラウド会計で自動化しやすい業務と、人の判断が残る業務

 

クラウド会計は、繰り返しが多く、判断基準が一定の業務に向いています。反対に、取引の背景を知らなければ処理できない業務や、承認が必要な業務は、導入後も人の確認が残ります。

 

 

自動化しやすい業務

 

  • 銀行口座やクレジットカードの明細取得

  • 毎月同じ内容で発生する取引の仕訳候補作成

  • 請求書データからの金額・取引先・日付の読み取り

  • 入金予定と実際の入金明細の照合

  • 定型的な月次レポートの作成

 

ただし、自動化しやすい業務でも、最初に取引先名、勘定科目、税区分、部門などのルールを設定する必要があります。ルールが曖昧なまま登録件数だけを増やすと、月末にまとめて修正する作業が発生します。

 

 

人の判断が残りやすい業務

 

  • 用途が分からない支払いや個人立替の内容確認

  • 交際費、福利厚生費、会議費など判断が分かれやすい取引

  • 固定資産に当たる可能性がある高額な購入

  • 請求金額や支払金額の最終確定

  • 振込の承認や資金移動の実行

  • 税務上の取り扱いや決算整理に関する判断

 

目標は、経理業務を完全に無人化することではありません。定型作業を減らし、人が確認すべき取引を早く見つけられる状態をつくることです。誰が判断し、誰が承認するかまで決めておくと、クラウド会計の運用が止まりにくくなります。

 

 

導入効果は「作業時間」だけで判断しない

 

クラウド会計を導入した後は、経理担当者の感覚だけでなく、毎月同じ項目を確認すると改善状況が分かりやすくなります。導入前の数字を残し、1か月後、3か月後に比較してみましょう。

 

  • 証憑の未回収件数:締め日時点で領収書や請求書が何件不足しているか

  • 未処理明細の件数:口座・カード連携後に内容確認が残っている取引は何件か

  • 修正仕訳の件数:自動登録後に勘定科目や税区分を直した取引は何件か

  • 月次締めまでの日数:月末から試算表が完成するまで何日かかっているか

  • 確認待ちの件数:社長や各担当者からの回答待ちで止まっている取引は何件か

 

作業時間が少ししか減っていなくても、未回収資料や確認待ちが減り、月次試算表が早く完成するなら、経理全体は改善しています。反対に、入力時間だけが短くなっても、修正や確認が翌月へ持ち越されている場合は、運用ルールを見直す必要があります。

 

 

クラウド会計の運用見直しチェックリスト

 

次の項目に複数の「いいえ」がある場合は、ソフトを入れ替える前に、設定と業務の流れを確認してみましょう。

 

  • 領収書・請求書の提出先が一つに決まっている

  • 資料の提出期限と月次の締め日が決まっている

  • 銀行口座・カード連携が切れていないか確認する担当者がいる

  • よく使う勘定科目・税区分・部門のルールが決まっている

  • 自動登録する取引と、人が確認する取引を分けている

  • 重複取引や残高のずれを毎月確認している

  • 内容不明の取引を誰に質問するか決まっている

  • 入力・確認・振込承認の権限を分けている

  • 税理士と会社側の役割分担が決まっている

  • 導入後に設定やルールを見直す日を決めている

 

一度にすべてを整える必要はありません。件数が多い業務、毎月遅れる業務、担当者しか分からない業務から順に見直すと、改善効果を確認しやすくなります。

 

 

よくある質問

 

 

Q.クラウド会計を導入すれば、経理担当者は不要になりますか?

 

必ずしも不要にはなりません。取引内容の確認、請求金額の確定、振込の承認、例外処理など、人が判断する業務は残ります。入力や転記を減らし、担当者が確認や経営資料の作成に集中できる状態を目指すのが現実的です。

 

 

Q.自動仕訳はそのまま登録しても大丈夫ですか?

 

すべてを無条件に登録するのはおすすめできません。定型取引は自動登録しやすい一方、内容が不明な支払い、高額取引、返金、振替などは確認が必要です。月次で残高と未処理明細を照合しましょう。

 

 

Q.紙の領収書はすぐに捨てられますか?

 

保存方法や要件によって扱いが異なります。紙で受け取った書類のスキャナ保存と、電子データで受け取った書類の電子取引保存は別の制度です。実際の運用は、国税庁の最新情報を確認し、顧問税理士などへ相談してください。

 

 

Q.クラウド会計の設定だけ経理代行会社に依頼できますか?

 

対応範囲は会社によって異なります。初期設定だけでなく、資料の集め方、月次締め、権限、顧問税理士とのデータ共有まで相談できる会社を選ぶと、導入後の運用が安定しやすくなります。

 

 

まとめ

 

クラウド会計を入れるだけでは経理が楽にならないときは、ソフトの変更を考える前に、初期設定、証憑回収、データ連携、入力ルール、役割分担を確認しましょう。

 

 

  • 会社に合った勘定科目と部門を設定する

  • 領収書や請求書の提出先を一つにする

  • 定型取引だけ自動化し、例外は人が確認する

  • 月次の締め日と担当者を決める

  • 1か月ごとに運用ルールを見直す

 

クラウド会計は、業務の流れと一緒に整えることで効果を発揮します。社内で見直す時間が取れない場合は、経理代行を活用し、入力作業だけでなく、毎月の運用そのものを整理する方法もあります。

 

クラウド経理導入サポートでは、現在の経理業務と会計ソフトを確認するところからご相談いただけます。

 

 

クラウド会計と経理代行を組み合わせる方法

 

社内だけで設定や運用を整える時間がない場合は、クラウド会計に対応した経理代行会社へ、日常業務と仕組みづくりをまとめて相談する方法があります。

 

経理代行では、会計入力だけでなく、資料回収、請求書発行、入金確認、振込準備、給与計算、月次資料作成などを依頼できる場合があります。会社側は取引内容の回答や最終承認に集中し、定型作業を外部へ任せる形です。

 

freeeとマネーフォワードの選び方は、前回の記事で詳しく比較しています。また、外部へ任せられる業務は、経理代行とは、具体的に何をしてくれるサービス?もあわせてご確認ください。

 

品川・横浜 経理代行ステーションでは、現在の会計ソフトを確認し、会社側に残す業務と外部へ任せる業務を整理したうえで、クラウド経理の運用をご提案しています。ソフトを変えることを前提にせず、今の環境で改善できる点から検討できます。

 

 

参考資料

 

 

 

※本記事は、2026年9月2日時点の公的機関等の情報をもとに、一般的な情報を提供する目的で作成しています。法令や制度、クラウドサービスの機能は変更される場合があります。実際の保存方法、会計処理、税務判断、契約にあたっては、国税庁や各サービス提供会社の最新情報を確認し、必要に応じて税理士などの専門家へご相談ください。本記事は、特定の会社に対する税務、労務、法務その他の専門的な助言を行うものではありません。

 

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